06.30   日本人の食料自給と農業
<前書き>
 
  日本国内の食糧生産が著しく低下して久しいのですが、今日では食糧自給率は30%台に落ちたとされています。他方では、米の需要が減ったことで、その作付けの減反政策は緩むことなく続いています。消費者や農家にとっては、今後どのようになることを願っているか、期待しているか、改めて考える必要があります。

 多面的な議論がなされている笹山登生さんのHP掲示板に同趣旨の書き込みをしたところ、ご本人を始め、次々と書き込みが続きました。
 http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

 永続的に考える必要があると見て、自分のHPに転載されていただきました。原文のままで収録させていただきました。

 なお、吉田つとむの議論掲示板にある記事を先に掲載します。

<目次>
1. 吉田つとむの議論掲示板にある記事 2件
2. 笹山登生さんのHP掲示板記事 スレッドの関係記事のみ
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コメの減反政策 - 成瀬の一納税者

2008/06/04 (Wed) 17:40:32

この件については消費者の反応が鈍いというのが現実でしょうか。何とも悲しい気がします。
霞が関全体の行政に共通することですが、消費者よりも生産者を重視する施策は今の世界的な農産物暴騰のもとでは全く機能不全となっています。しかし俗にリベラル派の大物と言われる政治家(山形が地盤、自宅への放火に対しテロへの対決姿勢を誇示)の発言は情けない限りで、これが永田町の実態なのですね。
このままで行くと日本の買い手の生活はどうなるのか、暗澹たる気持ちになります。
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関心の輪はまだ狭い - 吉田つとむ Home

2008/06/05 (Thu) 22:48:55

 成瀬の一納税者さん こんばんは 「コメの減反政策」に関する書き込み有り難うございました。

 この問題では、<「米」の減反政策の見直し問題 - 吉田つとむ 2008/06/01 (Sun) 21:14:53>として書いた問題ですが、そのスレッドにあるように、笹山登生さんの掲示板に同趣旨の書き込みをしたところ、ご本人を始め、次々と書き込みが続いております。
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi

 特に、政府などにも飼料米もその作付けが注目されているところですが、減反地で飼料米の作付けを図ることのリスクが書かれました。大きな参考にするべき内容でした。

 議論をする人は限定されても、消費者視点の農産物のあり方を注視する人や意見は欠かせないと思っています。
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 以下は、笹山登生さんのHP掲示板の書き込み記事の応答です。

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[7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:吉田つとむ 投稿日:2008/06/01(Sun) 23:58

笹山さん こんばんは 
「米」の減反政策の見直し問題が大きな焦点になることが予想されます。お米の問題では、以前に秋田県八郎潟の黒瀬さんの取り組みで書き込みさせていただいて以来です。
 さて、町村信孝官房長官は、5月31日の講演において、世界的な食糧不足の事態を背景に、米の減反政策は見直すべきであり、そのことによって日本の食料自給率を「5、6割」に引き上げるべきと表明したとのことです。
 この施策の考えには、早速党内から反対論が出されています。加藤紘一元幹事長(自民党食料戦略本部長)が「米価の値下がり」を引き起こすとしての立場です。
 町村信孝官房長官の発言の意図がどこにあるかは知る由もありませんが、一貫して米の減反政策(所得補填政策)で農業衰退方針を採ってきた日本の国政がこのままでよいのか、農家(農業者)に対して、真に問われる時が来たと思っています。
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[7689] Re:[7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:笹山登生 投稿日:2008/06/02(Mon) 08:30

吉田さん
しばらくです。
そうですね。
町村さんも加藤さんも、考え方が極端すぎると思います。
それは、「米」という言葉が、何をさしているかが、明確ではないからです。
おそらく、今、減反解除のスキームで考えられるのは、米は米でも、飼料米であると思われます。
エサ米ということですね。
かつて、私は、このエサ米を、耕作放棄地の有効利用に活用すべきと提唱したこともあります。
飼料米は、長棹(米の背丈が高い)、大粒であり、多収量型です。
しかも、手入れは、あまりかかりません。
飼料米とは名がついてはいますが、用途は、加工用にも、適したものです。
しかし、飼料米の歴史に不幸なことは、当時の社会党左派の農民組合系統があまりにエサ米を推奨したがために、そこに、イデオロギーの手垢がついてしまっていることです。
しかし、超多収型の飼料米が、このアグリフレーションの中で、図らずも、脚光を浴びてきたというわけです。
ですから、このスキームは、主食用の米と、飼料米とを分けて論じる必要があるかと思います。
ただ、問題があります。
米粉にした場合、両者を区別するのは難しくなります。
一時は、飼料米に、色をつけて、末端流通をコントロールとして、などというチン案もありましたが、ここは、問題として残っています。
つまり、米の一物二値の問題がのこっているということですね。
しかし、そもそも、モンスーン地帯の高温多湿の日本列島の中で、麦だ大豆だと無理をするよりも、飼料米を作付けするほうが、よっぽど効率的なのは、政府当局も内心はわかっているに違いないことなのですから。
ところで、ぜんぜん関係ない話なのですが、先日、東京駅の新丸ビルの地下で、町村さんの叔父さん(酪農の草分けである札幌農学校1期生の町村金弥さんの子息のうち、兄が町村敬貴さんで、町村農場の創設者。その弟が、町村信孝さんのご尊父の町村金五さん)の町村農場で、ソフトアイスクリームを食べてきましたよ。


主な飼料米の銘柄
参考「多収穫米品種一覧」
http://www.maff.go.jp/j/soushoku/keikaku/shiryouyoumai/pdf/tasyuu080125.pdf

べこごのみ 
北陸193号 
関東飼226号 
夢あおば 
ふくひびき 
タカナリ 
べこあおば
クサユタカ
など
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[7691] 食用米と飼料米について 投稿者:吉田つとむ 投稿日:2008/06/02(Mon) 10:17


 笹山登生さん おはようございます。早々にご返事いただき、有り難うございました。

 「米」と言っても、減反対策解除の対象は「飼料米」(エサ米)が適切だろうとのご指摘、感謝いたします。飼料米(エサ米)と言えば、酪農家の使用するエサ代が高騰して採算がとれずに廃業する例を聞きます。その酪農家の経営対策にもなるとの考えから、その推進が期待されるのでしょうか。

 モンスーン地帯に、麦だ大豆だと言う作物が合わないと改めて言われる時、農家にとっては食用米の作付けと飼料米の作付けをどちらを選択したいのでしょうか。少なくとも、収入が多いほうに決まっています。となると、農家が食用米の作付けをせず、飼料米の作付けを選択する施策はどのような手法があるのでしょうか。

 なお、現在でも古米を加工して米製品に転用する際に、米として再販売されているケースがあると聞きました。そこで、「米粉にした場合、両者を区別」する方法などの問題は後回しにして考えたいと思います。

 宜しくお願い致します。
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[7693] Re:[7689] [7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:虹屋 投稿日:2008/06/02(Mon) 23:21

> おそらく、今、減反解除のスキームで考えられるのは、米は米でも、飼料米であると思われます。
> 飼料米とは名がついてはいますが、用途は、加工用にも、適したものです。
> ただ、問題があります。
> 米粉にした場合、両者を区別するのは難しくなります。

米粉の利用、消費拡大に米パン、小麦粉の代替、がよく取り上げられていますが、この飼料米の粉の製パン適性はご存知ですか?
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[7694] Re:[7689] [7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:しろねこ 投稿日:2008/06/03(Tue) 03:20

飼料高騰対策の切り札として、政府や自民党も、補助金をつけて、盛んに飼料イネの作付けを奨励しているようですが、笹山様は、「漏生」をご存知でしょうか。
イネの脱粒籾(こぼれ籾)を放っておくと、翌年に、発芽、成長してくることを、「漏生」といいます。
飼料イネは、脱粒しやすく、また、直播でも栽培可能のように、こぼれ籾からの発芽も多く見られます。
飼料イネが「漏生」すると、肥料吸収力が旺盛で、成長が早いので、主食用の水稲の生育を抑制する「競合」や「混じり」の問題が発生する可能性があります。
水田は、水でつながっています。
安易に、飼料イネを作付けすると、翌年には、「漏生」によって、その田ばかりでなく、下流の田にも、飼料イネのこぼれ籾が発芽し、いわば、「強害雑草」としてはびこる可能性があります。
一旦、環境中に広がった「遺伝子」を、もとにもどすことは、不可能です。
農家が飼料イネの作付けに二の足を踏むのは、価格の問題だけでなく、長年の稲作の知恵が働いているように思うのですが。

http://www.pref.kyoto.jp/chikken/resources/0509-3.pdf
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[7695] Re:[7694] [7689] [7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:笹山登生 投稿日:2008/06/03(Tue) 06:47

虹屋 さん
しろねこさん
いろいろ、飼料米についてのご教授、ありがとうございました。
しろねこさんの「漏生」は、しりませんでした。
現在の除草剤は、イネ科を除いて効く(ビスピリバック液剤というのは、イネ科にも効くようですが)ようになっていますから、この「漏生」がはびこると、始末に終えないような気がしますね。
虹屋 さんのおっしゃるのは、特性として、すでに着色の特性を持つ伝来種を使っての加工用多収穫米の開発の可能性ということでしょう。
流通段階での混米を避けるには、一石二鳥ですね。
それに、伝統食ブームで、新たなマーケットも開けそうな気がするのですが。
これまでの議論から言えることは、「何のための多収穫?」ってことなんでしょうね。
その辺のコンセプトが、まだ、整っていないような気がします。
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[7696] Re:[7694] [7689] [7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:吉田つとむ 投稿日:2008/06/03(Tue) 10:09

 しろねこさん 始めまして おはようございます。

> 飼料イネが「漏生」すると、肥料吸収力が旺盛で、成長が早いので、主食用の水稲の生育を抑制する「競合」や「混じり」の問題が発生する可能性があります。
> 農家が飼料イネの作付けに二の足を踏むのは、価格の問題だけでなく、長年の稲作の知恵が働いているように思うのですが。

 上記のご指摘、有り難うございました。農家が食用米にこだわる理由がこのような点にあるのですね。

 とすると、バイオ燃料用の米なども同じ傾向を持つのでしょうか。

 他に1点の疑問。これは笹山さんに対するものです。

 加藤元幹事長が反対理由とした「減反政策を見直せば米価が下がる」とする考えですが、「食料米の増産で米価が下がれば、国内産米の需要も増える」と言うサイクルにならないでしょうか。政府が無理に米の消費拡大を唱えるより、米の価格低下の方がその需要が多くなるのではないでしょうか。
飼料米はうるち米だと思いますが、もち米では古代米、紫米、赤米、といった着色米がありますが、こういったもち米は飼料米に使えないでしょうか?先日の日本農業新聞の記事では北海道の拓大でうるちの着色米の育種に成功したとありましたが、インデッカ米など日本の食用に好まれない品種で飼料米はできないでしょうか、またその米粉の使用の適性はご存知ですか
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[7697] Re:[7696] [7694] [7689] [7685] 「米」の減反政策の見直し問題 投稿者:笹山登生 投稿日:2008/06/03(Tue) 10:17

吉田さん
おはようございます。
>>加藤元幹事長が反対理由とした「減反政策を見直せば米価が下がる」とする考えですが、「食料米の増産で米価が下がれば、国内産米の需要も増える」と言うサイクルにならないでしょうか。政府が無理に米の消費拡大を唱えるより、米の価格低下の方がその需要が多くなるのではないでしょうか>>
ですが、現在、アグリフレーション(農産物のインフレ)の状況にあるのは、麦・大豆という国際市況作物ということですから、これらとの直接的代替関係にはない、日本国内の主食用米は、価格弾力性がない、ということになるのではないでしょうか。
つまり、
現在、米が高いから、米の消費が伸び悩んでいるというわけではない。
価格が下がっても、需要が増えることにはならない、
ということですね。
もっとも、パンから米に主食を切り替える需要は、いくらかはあるとしても、です。
加工用米については、麦を中心とした代替産品に対する価格優位性がある程度出てくる、ということでしょうか。
国産麦、国産大豆については、国際産品価格が高騰しても、なお、価格的に隔たりがある、ということで、国内生産にいたるまでのインセンティブは、それほど十分ではないのではないでしょうか>
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[7709] 飼料米関連のサイト 投稿者:稲田 投稿日:2008/06/04(Wed) 11:38

飼料米を使った養鶏や養豚は、生活クラブ生協が山形遊佐町の「飼料用米プロジェクト」で始めています。解決しないといけないも問題はいろいろあるようですが・・・。
・生活クラブ飼料用米プロジェクト
http://www.seikatsuclub.coop/activity/20060925.html
・青森県常盤村養鶏農業協同組合
http://www.ruralnet.or.jp/gn/200804/siryo.htm
・岩手飼料米事例
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=9378&ik=0&pnp=14
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[7710] Re:[7709] 飼料米関連のサイト 投稿者:笹山登生 投稿日:2008/06/04(Wed) 19:01

稲田さん
参考になる飼料米のサイトのご紹介、ありがとうございました。
反収24俵ですか。
通常の主食用の3倍といったところですね。
まだ補助金の支えがあるのが気になるところですが、山形・庄内の例のように、飼料米で育てた豚肉など産品に、マーケットで無形の付加価値を与える試みは、参考になりますね。
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[7711] Re:[7710] [7709] 飼料米関連のサイト 投稿者:吉田つとむ 投稿日:2008/06/04(Wed) 23:15

 笹山さん こんばんは

 しろねこさんのご指摘で、飼料米の拡大植え付けには、飼料イネが「漏生」で食用米の水田を侵食するという大きな問題があることが判りました。他方で、虹屋さんや稲田さんのご指摘では飼料米の増産要請が進展してくるものと推測されます。

 その両方が成立するとなると、食料米と飼料米の作付け地が混在しないように、エリア分けせざるを得ないと言うことになるのでしょうか。

 少数意見ではあるでしょうが、私は減反政策によって農家に所得補償にされることに唯一賛成しなかったサラリーマン新党の出身者ですので、飼料米の作付けにも補助金が出続けるということであれば、その施策には疑問を感じるものです。

 今一度、「食用米」の自由作付けはどのような条件があって可能かと言う問題をご検討いただけないでしょうか。
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[7714] Re:[7711] [7710] [7709] 飼料米関連のサイト 投稿者:しろねこ 投稿日:2008/06/05(Thu) 06:34

笹山様、吉田様、稲田様、おはようございます。
早速、飼料イネの「漏生」の問題を、とりあげていただいてありがとうございます。
 農地の問題や、食用米に偏重した農政の見直しをなおざりにして、減反政策のように地域ごとに転作面積を割り当て、食用米の圃場のまんなかで、飼料米を作付けしたり、飼料が高騰したからといって、一時的に補助金をつければ飼料米が増産されるといった、政府や自民党の、作付け体系を無視した、場当たり的な考えに警告を発したかったのです。

稲田様が紹介されたように、飼料米の生産に地道に取り組んでいるグループもあります。
吉田様にいわれるように、エリア分けをして、継続的に飼料イネを作付けする場合には、「漏生」はあまり問題にならないといわれています.また、飼料イネでも、単に収量だけでなく「漏生」しにくい品種も開発されています。
笹山様のいわれるように、飼料イネは、単に食用米や輸入トウモロコシの代替ではなく、じっくり取り組めば、日本の気候風土にあった、将来性のある作物だと思います。
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[7723] 山崎 養世さんの「農業を日本の先端産業にする」 投稿者:笹山登生 投稿日:2008/06/06(Fri) 20:43

このサイト
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080604/160280/
だが、

1 日本の農地ができるだけ使われるようにする
2 日本の農産物の値段を下げ品質を上げる
3 日本の農業の担い手を増やす
を柱にしたユニークな農政論を展開している。

まあ、このような違った視点から日本の農業農村を見直していく時代なのかもしれない。
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